特許情報(第30回)EP:欧州統一特許裁判所協定の現状について

2022/09/02

 欧州統一特許裁判所協定(Unified Patent Court Agreement: UPCA)が発効することによって、欧州単一効特許(UP)および統一特許裁判所(UPC)の運用が開始となります。現時点では、UPCA発効は、本年の11月頃にドイツが批准書を寄託すると予想されておりますので、2023年3月1日となる可能性が高いようです。

欧州単一効特許(UNITARY PATENT:UP)
 欧州特許庁(EPO)にて特許許可された場合、これまで通り各国への有効化手続き(Validation)に加えて、欧州単一効特許(UP)を選択することもできます。欧州単一効特許(UP)を指定すると、スペインとクロアチアを除く下記の欧州連合(EU)加盟国のすべて(25か国)で特許が有効となる予定です。以下のリストの青字がすでに批准済の国で、黒字が批准待ちの国となっています。


 また、欧州単一効特許(UP)指定に加えて、UP参加国以外の指定国への有効化手続き(Validation)を行うこともできます。例えば、UP指定と併せて、UPCに参加していないスペインや英国への有効化手続きを行うことが可能です。
 なお、英国はUP参加を撤回しましたので、英国での権利化を希望される場合は、これまで通り有効化手続きを行う必要がございます。

コスト
 単一効特許を指定する場合の庁費用は無料です。
 また、単一効特許の年金費用は、ドイツ、フランス、イタリア、およびオランダの累積年金庁費用の合計に相当します。多数のEU加盟国で特許権を活用する場合は非常に魅力的ですが、関心のある国が4か国未満の場合は、年金費用負担がかえって増えるおそれがあります。
 なお、現地代理人費用は、まだ確定していない事務所が多いようです。

経過措置
 現時点ではUPCAは発効していませんが、EP出願の規則71(3)が通知され、単一効特許を指定することを希望される場合は、EPOに特許付与の決定の発行をUPCA発効直後まで遅らせることを要求できます。ただし、ドイツが批准書を寄託していることが条件となります。

以上